TV番組の取材を通して「アミティ」(米国・犯罪者の更生施設)を訪れてから、かれこれ10年近くたつ。その間、様々な出会いがあった。罪を犯し、刑務所に服役した後に、社会の中で生き直そうとしている人たちとの出会いである。
共同生活施設に暮らす保護観察中の若者、芸術家として成功をおさめる青年、弁護士をめざして大学で学ぶ少女、デモンストレーターと呼ばれるスタッフなど。その多くは十代の頃から薬物に手を出し、他人に危害を加え、逮捕を繰り返す「凶悪」な犯罪者だったという。しかし、私の目の前にいる彼ら/彼女らは、「凶悪」という言葉からは想像もつかないほど穏やかで優しい。
「あなたが変わりたい、と思えるようになったきっかけは何だったの?」
そんな質問をどれぐらいの人に投げかけてきただろう。
そして、彼/彼女らは決まってこう答えるのである。
「ライファーズ(終身刑受刑者)のおかげだよ」
正直なところ、最初はこの答の意味がよくわからなかった。取り返しのつかない罪を犯してきたライファーズは、どんな思いで日々暮らしているのだろう。そんな彼らから他の受刑者たちは何を学ぶのだろう。アミティは刑務所の中でどのような活動をしているのだろう。塀の中で一生すごさねばならないかもしれないライファーズにとって、何が支えなのか? 彼らは被害者に対してどのような「償い」をしているのだろうか?
本作品は、そんないくつもの疑問からスタートした。社会復帰した元受刑者たちに、塀の中からポジティヴなエネルギーを与え続けるライファーズとはどういう人たちなのか、彼らが抱く葛藤や苦しみはどこからくるのか、じっくりと見て欲しい。
坂上香(監督・プロデューサー)